不倫慰謝料について弁護士に相談すべき理由

最終更新日:2025年01月10日

 不倫が発覚して、妻(夫)から、慰謝料を請求されてしまった。

 不倫相手の奥さん(旦那さん)から、慰謝料を請求する内容証明が届いた。弁護士に相談したほうが良いだろうか?

 このような場合、相談することがお勧めです。弁護士に相談することには、大きなメリットがあるからです。

 今回は、そのメリットとは何か、弁護士に相談するべきタイミングについて説明します。

1 不倫慰謝料に強い弁護士の選び方

 不倫慰謝料に強い弁護士を選ぶには、そもそもどのような弁護士が「不倫慰謝料に強い弁護士」なのかを知る必要があります。

 不倫慰謝料について相談する弁護士を探す際には、①不倫慰謝料事件の代理人となった経験が豊富で、自身が担当した過去の事例が数多くあること、②自分の担当した事件以外の裁判例にも精通していることに注目することをおすすめします。

⑴ 適正な慰謝額を予測できる

 慰謝料は、心の傷を慰めるための賠償金です。その性格上、いくらが適正な金額かという客観的な基準は一切ありません。

 このため慰謝料額は、裁判例を含む過去の事例から蓄積された「相場」によって決まります。

 裁判実務に関わる、裁判官や弁護士といった専門家は、この相場感覚を共通しています。

 したがって、経験と知識が豊富であるほど、適正な慰謝料額の判断ができるわけです。

 弁護士の役割から言えば、その事案が最終的に裁判官の判決で処理されることとなった場合に、いくらの慰謝料額を認めてもらえるかを、事前に予測することが重要です。

 過大な金額を期待しすぎて和解案を蹴った挙げ句、和解案よりも安い判決をもらうようでは依頼者の利益を守ることができません。

 慰謝料の金額について、的確な予測ができる弁護士に相談しましょう。

⑵ 相手方を説得する能力が高い

 不倫慰謝料の事件は、法律的には慰謝料という金銭を請求する事件ですが、問題の根本は男女関係です。

 金銭の請求は、利益を得るためよりも、相手に経済的・精神的な「打撃を与えたい」という希望に基づくことが大部分です。

 請求を受ける側も、単なる金銭的な損失よりも、請求してきた相手方との人間関係、男女関係のもつれから、簡単には要求を飲まないケースがほとんどです。

 このため、不倫慰謝料事件では、単純に、請求する権利があり、支払う義務があるという法律論を振りかざしても、それで当事者が簡単に納得するはずもなく、余計に争いがもつれて、早期の解決が困難になってしまう可能性が高いのです。

 不倫慰謝料事件を早期に妥当なレベルで解決するためには、法律論に留まらず、もつれた人間関係をときほぐし、当事者をして、「もう問題を清算しよう」という気にさせる説得術が重要です。

 このようなスキルは、弁護士といえども机上の勉強で得られるものではありません。不倫慰謝料事件の場数を踏むことでしか体得できないものです。

 この観点からも、不倫慰謝料事件の経験の豊富さが重要なのです。

2 弁護士に相談するメリットとタイミング

 例えば、夫が職場の女子社員と不倫をしていたことが発覚した場合、妻は夫に対して慰謝料を請求することも可能ですし、女子社員に対しても慰謝料を請求すること可能です。

 では、このように不倫慰謝料を請求する立場となった場合、不倫慰謝料に強い弁護士に相談することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

⑴ 適正な慰謝料額を知ることができる

① 過大な請求は解決を遅らせ、裁判上も不利

 夫の不倫の被害者となった妻の立場からすれば、夫や不倫相手の女子社員に請求する慰謝料の金額は、多ければ多いほど望ましいとも思われます。

 しかし、あまりにも過大な請求は相手方の態度を硬化させてしまい、早期の解決が難しくなる危険があります。

 早期の解決など望まない、とことん戦ってやるというお気持ちの場合でも、相手が拒否し続ければ、最終的に訴訟で決着を付けざるを得ません。

 その場合、あまりに過大な金額であれば、当然、裁判所はこれを認めませんし、逆に、常軌を逸した請求ではないかと、裁判官に悪い印象を持たれてしまう危険すらあります。

 相手に打撃を与えたいという気持ちはわかりますが、慰謝料請求は、相場に基づく適正な金額を知った上で行うべきなのです。

 

② 不倫慰謝料の金額を左右する要素を丁寧に検討してもらえる

 不倫慰謝料事件の経験と知識が豊富な弁護士であれば、事案に応じた金額についてアドバイスを行うことができます。

 不倫慰謝料の金額に影響を与える要素には、代表的なものに次のようなものがあります。

 

・不貞行為が行われる前の夫婦関係が円満であったか、それともうまくいっていなかったか

・不貞行為の発覚後に離婚、別居となったか、それとも同居を続けているかどうか

・結婚期間が長いか、短いか

・不貞行為をしていた期間が、長いか、短いか

・夫と女子社員の間の子どもの有無、妊娠の有無

・不貞行為に積極的だったのは夫か、それとも女子社員か

・夫婦の間に、未成年の子供がいるか。その年齢と人数

・不貞行為が発覚してから謝罪、反省をしたか、それとも開き直っているか

・不貞行為をした夫の財産や収入

・(女子社員に対する慰謝料請求については)女子社員の財産や収入

 

 不倫慰謝料に強い弁護士は、これらの諸要素を一つ一つ検討し、過去の類似する事例と比較しながら、妥当な慰謝料額を決めるのです。

⑵ 不倫の証拠収集についてアドバイスを受けることができる

 不倫が発覚しても、相手が事実を否定すれば、調停や裁判で、不倫の事実を示す証拠を提出できない限り、慰謝料請求を認めてもらうことはできません。

 不倫の証拠といえば、探偵事務所が撮影した、ホテルに出入りする二人の写真などを想像すると思いますが、そのような強力な証拠がある場合ばかりではありません。

 二人のメールのやり取りがあっても、直ちに肉体関係を裏付ける内容とは限りません。

ホテルの領収書があっても、その女子社員と利用したことを直接に裏付けるわけではありません。

 通常は、複数の間接的な証拠を積み重ねてゆくことが要求されるのです。

 その事案において、どのような証拠が考えられ、後の裁判に提出するためには、どのような形で保管するべきかについて、裁判の専門家である弁護士からのアドバイスを受けておくことが有益です。

⑶ 離婚をめぐる問題の一切について助言をしてもらえる

 夫に対して不倫慰謝料を請求したいと考えている妻の大部分は、同時に離婚を望んでいるか、これを真剣に検討しています。

 離婚の際には、そもそも離婚が認められるかどうかという問題にとどまらず、離婚条件が法的問題となることがほとんどです。

 離婚の条件の代表的な中身は、離婚慰謝料、財産分与、親権の帰属、養育費、面会交流です。

 離婚の際に支払われる慰謝料(不倫慰謝料と離婚慰謝料を含みます)、財産分与等を「離婚給付」といいます。

 夫の財力に限度がある以上、不倫慰謝料の金額は、実際に、全体としていくらの離婚給付の支払いが可能なのかという観点を無視できません。

 つまり、離婚も考える場合、不倫慰謝料だけを取り出しても、あまり意味はなく、離婚条件全体の中で考える必要があるのです

 弁護士に相談をすれば、不倫慰謝料の問題も、離婚という大きな問題の中の一つとして捉え、離婚問題をどのように解決するべきかという観点からアドバイスを受けることができます。

⑷ 弁護士は代理人となることができる

 弁護士は、不倫慰謝料について、当事者間の協議、調停、訴訟、強制執行の各段階で、弁護士は代理人となることができる

 妻が、不倫慰謝料を夫に請求するとともに離婚を求める場合、通常は、まず当事者間で話し合います。

 話し合いがまとまらず、あるいは拒否された場合、家庭裁判所に調停(夫婦関係調整調停)を申し立て、調停委員の仲介による話し合いをします。

 調停でまとまらなければ、家庭裁判所における離婚訴訟で決着をつけなければなりません。

 そして、慰謝料を支払えという判決が下り確定した場合は夫が判決どおりの支払いをしなければ、夫の給料を差し押さえるなどの強制執行をして取り立てることになります。

 弁護士は、この最初の段階から妻の代理人となることができます。

 まず妻に代わって夫と交渉することができます。調停も代理人として申立手続きを行い、妻と共に調停に出席して意見を述べ、妻をサポートします。

 訴訟になれば、妻の訴訟代理人として法廷活動を行います。

 判決が確定した後の強制執行手続きも、弁護士が代理人として行います。

 このように、不倫慰謝料を含む離婚問題の最初から最終解決に至るまで、常に、弁護士が代理人として活動することができるのです。

 直接に相手と話したり、顔を合わせたりする必要はなくなり、法律問題に頭を悩ませることもなくなります。精神的な負担を著しく軽くすることができます。

 なお、弁護士が、当事者間の協議、調停、訴訟、強制執行の各段階で、代理人となることができることは、不倫慰謝料の請求先が夫の不倫相手(女子社員)の場合も同じです。

 ただし、この場合、家庭裁判所が担当ではなく、担当する裁判所は、調停の場合は簡易裁判所の「民事一般調停」、訴訟の場合は金額によって地方裁判所又は簡易裁判所(140万円以下の請求の場合)となります。

3 不倫慰謝料請求したい時に弁護士に相談するタイミング

 不倫慰謝料を請求したい時に、弁護士に相談するタイミングはいつが最適なのでしょうか。

 答えは、「早ければ、早いほど良い」です。

 すでに説明したように、弁護士は、「交渉」、「調停」、「訴訟」、「強制執行」という全ての段階で代理人となることができます。

 また、代理人とならなくとも、全ての段階で、相談を受け法的アドバイスを行うことができます。

 弁護士に相談をすれば、不倫慰謝料に関する「証拠収集」についてアドバイスを受けることもできると申し上げました。

 相手が不倫の発覚したことに、まだ気が付いていないという段階から、弁護士に相談をしてアドバイスを受けることが有益です。

 それが、調停や裁判の際に、あなたに有利に働くことでしょう。

4 相手から不倫慰謝料請求をされた時

 次に、あなたの不倫が発覚して自分の妻(あるいは不倫相手の妻)から不倫慰謝料を請求された時に、弁護士に相談するメリットとタイミング説明します。

⑴ 不倫慰謝料請求をされた時に弁護士に相談するメリット

① 不倫慰謝料の請求額が妥当な金額かどうかがわかる

 不倫慰謝料を請求された時に、不倫が事実であれば、最も悩ましいのは、はたして請求された金額が妥当な金額なのか? 本当に自分がこの金額を支払う責任があるのか? 判断がつかないことでしょう。

 不倫慰謝料に強い弁護士は、事案に応じた適正な慰謝料の金額を判断することができます。

 請求された金額が妥当な額かどうかは、弁護士に相談をすればすぐにわかります。

 請求された金額が妥当で、支払義務を負うことは仕方がないという事案という判断がつけば、問題が拡大しないように、早々に和解をするという選択も可能になります。

 

② 不倫慰謝料請求の今後の法的手続きがわかる

 不倫慰謝料の請求を受けた側は、このまま請求に応じないと、どのようなことになるのか? 不倫の事実が、親戚や職場にばれてしまうのではないか? 給料や貯金がすぐに差し押さえられてしまうのではないか? など、様々な不安にさいなまれるでしょう。

 請求する側が、その後どのような法的手続きを選択するかは、不倫慰謝料に強い弁護士に相談をすれば、すぐに分かりやすく説明してもらえます。

 分からないことに対する不安をなくして安心することができるでしょう。

⑵ 不倫慰謝料請求をされた時に弁護士に相談するタイミング

 不倫慰謝料の請求をされた時に、弁護士に相談するタイミングとはいつでしょうか?

 答えは、これも「早ければ、早いほど良い」です。

 請求された金額が妥当かどうか分からなければ、拒否すべきかどうかの判断すらできません。

 最初に弁護士に相談をして、妥当な請求なのかどうかを知る必要があります。

 請求する側は、怒り心頭に発し、なんとか相手方に打撃を与えたい、困らせたいという気持ちに満ちています。

 興奮して言い合いになるとか、拒否されて職場に押しかけるなどの過激な行動に走るケースも少なくありません。

 こちらも興奮して応酬すれば、事態はますます紛糾します。

 怒っている相手には、冷静に対処しなければなりません。

 そのために、明確な今後の見通しを持っていることが何よりも大切です。

 また、弁護士が、不倫慰謝料請求について、交渉の当初から、調停、訴訟、強制執行に至る、全ての段階で代理人となれることは、請求する側についてだけではなく、請求を受ける側についても同じです。

 早期に相談をしておけば、請求する側の手続きが進んでしまっても、最初からの事情を理解している弁護士に、すぐに対応してもらうことが可能です。

 これらのことから、できるだけ早期に弁護士に相談することをお勧めするのです。

5 不倫慰謝料について相談する弁護士を探す方法

 現在では、インターネット上に法律事務所のホームページがたくさん掲載され、それぞれの事務所が、それぞれの強みとしている分野を明らかにしてくれています。

 その中から、不倫慰謝料を得意とすると表明している弁護士がまず候補者となるでしょう。

 弁護士会の法律相談を利用することも有益です。

 相談の担当者は選べませんので、必ずしも不倫慰謝料を得意分野としている弁護士にあたるとは限りませんが、話を聞いてもらえればその弁護士を通じて不倫慰謝料を得意とする弁護士を紹介してもらえる可能性もあります。

6 不倫慰謝料の相談は弁護士法人心へご相談を

 不倫慰謝料問題は、請求する側もされる側も、大変大きく神経がすり減ってしまいます。

 相手方との交渉で更なるトラブルを巻き起こさないように、不倫慰謝料問題は弁護士にご相談することをおすすめします。

 不倫慰謝料の問題にお悩みの方は、当法人の弁護士までお気軽にご相談ください。

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